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○活動内容

 職業人としてあるいは図書館員(専門職)として、求められているのは「知識」「技能」「感性」です。 知識、技能は日々の業務の中で習得できるかもしれません。 しかしながら、一番大事なことは図書館員としての「感性」を身につけることです。 そのことは、到底一人では出来ません。 問題点や価値観を共有できる多くの人との出会い、あるいは多くの経験の積み重ねによって、それぞれが生きがいを持ち感性豊かに仕事をすることで、活き活きと生活することにつながるのです。 仕事の取り組みは、あくまで「All for One, One for All.」です(加藤好郎 2002-2003年度分科会報告書)。
 当分科会では、図書館員として必要な基本的な事項や最近の動向について学ぶ講義と、3グループ(人材育成・コンソーシアム・リスクマネジメント)に分かれてのグループ研究が大きな柱として活動をしています。
 最終的に研究部研究報告大会での研究発表、および研究・活動報告書の出版を行ないます。 

○皆様に贈る言葉「仕事が面白ければ、人生が楽しい」      慶應義塾大学 国際センター 事務長 加藤好郎

 小林秀雄「私の人生観」のなかの、「天職とは」の一節に「今日では、様々な事情から、人が自分の一切の喜びや悲しみを託して悔いぬ職業を見つけることが、大変困難になった。そのことで、多くの人が職業のなかに人間の目的を見出すことを諦めてしまった。これは、悲しむべきことです」とある。
 私の経験では、多くの図書館員は自ら望んで図書館員になっているように感じられます。しかしながら、仕事への不平、不満は多いように感じられます。つまり、本当に毎日充実して、楽しく仕事をしている人は少ないように思えるのです。何故なのでしょうか。
 もともと世の中に面白い仕事が転がっているわけではありません。どんな仕事でも、最初は与えられたものを、どんなつまらないものでも「始めから最後まできちんとやりこなす」ことで、仕事に対する自分の価値観も変わるし、周りの評価も変わってきます。そのことで期待されれば、新たな仕事が与えられ、その仕事にモチベーションがもて楽しい仕事に変わっていくのです。
 一生かけてある仕事に従事できることが、職業人あるいは社会人の究極の目標と考えられます。どんなに趣味を持っていても、仕事が充実していなければ、面白くないし、単なる逃避にすぎません。
 図書館員として、より充実した仕事をするためには、精神的にも、技術的にもあるいは時間的にも余裕を持つことです。では、どうしたら余裕が持てるのでしょうか。それには、一定のレベルを超えた「知識」「技能」そして「感性」を持つことです。
 図書館員としての「知識」とは何でしょうか。例えば、電子ジャーナル、図書館システム、書誌学、レファレンス、目録規則等が思いつきますが、それは当たり前の話です。一定のレベルを超えた「知識」とは、利用者のニーズを意識した、今後の図書館の使命を知ることです。
 図書館員としての「技能」とは何でしょうか。目録作成、データベース構築、ホームページの立ち上げ・維持管理、デジタル化への技術等が思いつきますが、それだけではありません。技術を、利用者に供給することで、需要を生むことです。
 図書館員としての「感性」とは何でしょうか。利用者があなたに求めていることと、組織があなたに求めていることが、意識しなくてもわかることです。恋人同士なら彼・彼女の役割、夫婦なら夫・妻の役割が自然にわかることを意味します。つまり、人の気持ちに立って、人に良い思いをさせようと心底思える気持ちです。その気持ちで、業務に取り組むことができることです。
 この分科会では、「知識」を吸収し、「技能」を高め、「感性」を豊かにする目的で、2年間運営してきました。「知識」「技能」は講義や研究グループから大いに得たものと思います。「感性」は、この2年間を通じて、それぞれの参加者の個性から、また所属している大学の建学の精神や事業目標から学べたと思います。
 人間は、一人では弱いものです。図書館がコンソーシアム、相互貸借を組むように、図書館員も人的ネットワークが必要です。ネットワークを組むことで仕事がしやすくなります。同時には、そのことは、少しでも、自分が成長していくためのベンチマークとなります。他人は、言い意味でも悪い意味でもわが身の鏡です。
 この2年間で、皆様は周りのからの刺激、教え、あるいは安心感等を受け、一回り大きな人間として成長したものと確信しております。今、願うのは、この2年間で得たものを、是非、業務に反映してもらいたいということです。
 4月1日が皆様の専門職としての図書館員の第一歩です。既存の「専門職探し」ではなく、自らの典型的な「専門職創り」をはじめて下さい。

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