2004年度『館長懇話会』


日時 : 2004年6月11日(金)12:30〜13:45
場所 : 大阪国際大学 守口キャンパス 本館6階 会議室
出席 : 40校 館長40名(会長校 早稲田大学含む)


開会のことば : 当番校    大阪国際大学     課長代理    吉岡 肖治
開会の挨拶  : 部会長校  南山大学図書館  館長         大森 正樹

 進行役に南山大学名古屋図書館大森正樹館長を選出し、「館長懇話会レジュメ」にもとづき説明、進行が行われた。

1).  「館長懇話会」趣旨
 大学経営の厳しさがそのまま図書館運営にも反映し、図書館長の指導力の重要性が増えている。各大学の図書館長が一同に集うことで親睦を深めつつ情報交換を行い、将来の図書館運営や相互協力について話し合う機会を設ける。
2). 話題:<加盟館から提供>

(進行)
    活字離れした学生達に図書館をいかにして利用してもらうか。<九州東海大学>
(九州東海大学より補足説明)
     専用の建物を持たず、予算が削減する中、少ないスタッフで何ができるか考え、学生に図書館を利用してもらうよう進めている。具体的には、学生用図書費の予算枠を確保、教授会に図書館を利用する授業を依頼、学習実態調査も含めた図書館利用に関するアンケートの実施、ライブラリーツアーなどを行っている。利用状況について10年前と比較すると、2キャンパスそれぞれにある図書館の入館者数が、一方が半減、他方は2倍に増加している状況である。このようなことについて、全教員を対象に授業実態調査を実施し、問題提起をしていこうと考えている。
(成安造形大学)
     教材の一部として、教員が寄贈した漫画を置いたら利用者が増加した。また、利用の増加に向けては、学生が希望する図書はできるだけ購入したり、図書館職員が製本の勉強をし、学生に自作の作品集の作り方を教えている。
(京都学園大学)
   (九州東海大学に対する質問)キャンパスによって入館者数の増減に違いがある要因は。
(九州東海大学)
   当初、図書館の場所、立地の問題と思っていたが、貸出の増加しているキャンパスでは授業の宿題が多いこと、シラバスに掲載されている参考図書を複数冊数購入していること、指定図書制度などが要因になっていると思われる。
(大同工業大学)
   指定図書、推薦図書が増え、利用も増加した。図書館の利用については教員の授業と関係がある。
(西南女学院大学)
   学生に本を購入させ、読ませるのは至難の業である。試みとしては、授業で図書を指定し、書評を書かせる等を行っている。教員の負担は増加するが、授業と図書館とのタイアップが必要である。
(京都精華大学)
   図書館機能と情報センター機能を統合して情報館という施設とした。そのことにより視聴覚資料と図書の利用が1つのゲートでできるようになった。また、マンガ学科があるので、漫画資料もある。オーディオビジュアル施設やビデオ編集スタジオ等図書以外にも学生をひきつける工夫をしているし、本年度はさらに学生を情報館へ吸引するためEメールアドレスの登録を情報館で行っている。
(岐阜経済大学)
   学生を取り巻く環境にはインターネット、ビデオなど面白いものが溢れており、図書館を利用しなくなった。そこで学生を引き付けるための仕掛けが必要である。ゼミ単位の図書館ガイダンスは効果があるが、教員の積極的な指導が不可欠である。
(桃山学院大学)
   4〜6月にかけて、1年生対象に基礎演習で図書館ガイダンスを行っている。ただし、貸出冊数については、数年前は10冊から最近では8冊に減っている。これは、セメスター制の導入により夏期休暇前に試験があり、夏期休暇をまたぐレポートが少なくなったのが、原因ではないだろうか。
(進行)
   情報リテラシー教育と図書館利用者教育の協力体制について<関西福祉科学大学>
(関西福祉科学大学からの補足)
   教員からの依頼を受けて図書館員が新入生を対象にガイダンスを実施している。昨年の受講生の割合は5割であったが、今年は大学で6割、短大で8割以上になり、更に増やしたいと考えている。
(進行)
   利用者教育の現状と問題点<大阪国際大学>
(大阪国際大学からの補足)
   新館を建てる際、1階をインフォメーションセンター、2・3階を図書館とし、学生が入りやすくしたので、来館者も増加した。また、図書館員だけでなく、TAも活用してライブラリーツアーを実施している。図書館を、知的好奇心を刺激する場としている。
(中京大学)
   図書館の利用増のため、図書館職員が学生に対して、どんなことを希望しているかのアンケートを実施した。その結果、図書館職員の質的向上を高め、専門性を養うための環境を整えて欲しいとの意見があった。また、学生の希望を聞くため館長と『ライブラリーサロン』という懇話会を開催している。学生の要望は、検索方法、配架の工夫と資料の利用方法、開館時間、視聴覚資料など、オーソドックスなものであった。
(京都学園大学)
   (大阪国際大学に対する質問)学生が足を運ぶ図書館にすれば、入館者数が増加するが、活字離れなどは解消できるのか。
(大阪国際大学)
   貸出冊数は微増である。入館者数が図書に限らずそこにある資料を利用できる機会を増やしたいと考えている。
(九州情報大学)
   目標は入館者数を増やすことである。学生の本に対する興味を持ってもらうため、図書館が発行しているニュースレターに『私のすすめる1冊』として、図書の推薦をしている。また、グループ学習室を利用したゼミの開催を教員に依頼している。
(沖縄国際大学)
   入館者の2割は卒業生や市民である。電車がないので、学外利用者の増加は学生の駐車場の問題にも繋がっている。
(甲南大学)
   図書館でなければできない活動とは何なのか。現在、ゼミで調査をさせるテーマを課すと、図書館を利用するのではなく、インターネットで済ましている。なぜ図書館でなければいけないのか、なぜ図書館を使わなければいけないのかを、図書館が提案する必要がある。
(立命館大学)
   基礎教育の中で図書館を利用しなければならない仕組みとしているし、デジタル情報については独自のガイダンスも行っている。デジタル情報としてではなく、書物を読みたい学生には、研究室図書を貸し出す、書庫へも入れる等の別の対応を実施している。また、図書館、情報、書物を分けて、関連付けて考えている。 

3). その他

(進行)
    昨年度の館長懇話会での話題であった、アフガンやイラクなど戦災被害をうけた大学等に図書を寄贈する活動についての報告<大阪国際大学>
(大阪経済大学からの補足)
     実際にカブール大学(アフガニスタン)へ寄贈に関する手紙を送ったところ、返事が届いた。財政上の問題もあり、現在は外務省や国会に働きかけているところである。

以 上


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