JASPUL-CILC

UPDATE:2003/07/09
Research information services in a global, networked
environment: the RLG perspective
グローバル・ネットワーク環境におけるリサーチ・インフォーメーション・サービス: RLGの展望


ジェームズ・ミハルコ
RLG所長


私立大学図書館協会国際図書館協力シンポジウム
中京大学
2003年5月16日
(日本語訳 加藤 好郎)



こんにちは、RLG会長のジェームス ミハルコです。このセッションに参加させていただきありがとうございます。特に、この講演のために招いて頂いたこの協会および国際図書館協力委員会の加藤前委員長には特に御礼申し上げます。90分間お話しをしますが、その後ご質問にもお答えいたします。

今日の私の話は、将来の図書館サービス、特にリサーチ・インフォメーション・サービスの将来に焦点を当てお話します。ご承知のとおり、図書館の将来のサービスを考えるとき、それは、図書館が持つ本来グローバルな性質によって定義づけられ、またそれは、既に現存するネットワーク環境によって決定づけられるものです。このことは、現在よりももっと強く認識しなければなりません。


今日は4つのパートに分けてお話します。最初は、我々が現在行っているRLGの仕事のなかで、将来のリサーチ・インフォメーションを考えている立場から、RLGの組織について少し説明いたします。

そして、リサーチ・インフォメーション・サービスの将来環境を形成するであろうものについて、私の総合的な見方がどういうものであるか、述べさせていただきます。それは、あくまでも現在の私見ですが、私は、それが、かかるサービスの将来を形成するものであると信じています。

最近の条件のなかから、ネットワーク環境や将来考えられる仕組みを、グローバルなレベルで展開する時に図書館の有利な点、あるいは図書館の新たな挑戦についてもお話しします。

最後に、デジタル・ライブラリー・サービスについてふれます。それはどんなものであろうか、現状とはどのように変わるのであろうか、利用者が求めているものは何であろうか、21世紀における図書館サービスはどんなものであろうか、将来におけるリサーチ・インフォメーション戦略そのものはどんなものになるのであろうか、などです。

また、これは私の想像するところのものですので、決して、実証されたものではないことを断っておきます。私が想像するものが、そして我々の現在の活動が、リサーチ・インフォメーション・サービスの将来に向けての長期的なものとどのように関わっているのか、またそれがいかに将来をサポートするのか、皆様の想像を掻き立てるものであることを期待して、お話をさせていただきます。


それでは、RLGの簡単な紹介をいたします。

RLGは非営利の組織です。世界中の博物館、図書館、文書館がリサーチ・インフォメーションの問題や情報をシェアーしています。160以上の機関が参加しています。慶應義塾大学がそのメンバーになったことを喜ばしく感じていますし、そのことが日本との関係の鍵になると考えています。同時にリサーチ・インフォメーションの問題を解決するパートナーとしても喜ばしく感じています。リサーチ・インフォメーションの諸問題に取り組むことこそ、私たちの長期にわたる使命であり、歴史を越えて現在もその使命に変わりはありません。

しかしながら、その使命をまっとうするための方法論は、過去何回か見直してきましたが、情報へのアクセスを重要視することには変わりはありませんでした。このようにして、コラボレーション(共同事業)やさまざまな研究と高等教育をサポートしてきたのです。

我々の課題は、メンバーの様々なニーズに応えるということです。メンバーは多様ですが、そこに共通するのは、学問する者へのサービスを提供するという使命感です。この使命感こそもっとも強調されるべき共通性です。そして、かかる使命感をより強化にするもののひとつにコラボレーションがあります。私たちは、まず、共同作業が必要です。ひとつの機関では複雑すぎて、解決には、長い時間と多大な労力が必要であるという問題が生じます。そして、最終的には商業セクターではサポートが見込めないと思われるある種のカテゴリーに入るリサーチ・インフォメーションが、研究および教育現場に備わるような情報サービスを提供します。この使命と課題を基調に、私どもはどこに投資すべきか、どこにメンバーの努力を傾注すべきかの優先順位を定期的に決定しています。

最近の優先順位はこのリストのとおりです。国際化とデジタル化が強調されているのが分かると思います。今後は、ネットワーク環境が、リサーチ・インフォメーションの利用のための現場の条件になると考えられますが、デジタル資源の場合、商業ベースに乗らないものに焦点を絞っています。その良い例として、カルチュラル・マテリアル・オンライン・リソースがありますが、それは図書館、文書館、博物館のコレクションを集めてデジタル化している事業です。

この調査が示すとおり、RLGはそのメンバー機関の、教員、学生、スタッフに対して、教育・学習のための調査資料の提供をしたいという欲求と深く関わっています。このことは、私たちが、大学および研究機関において何が起こっているかを、注意深く見守る必要性があることを意味します。思うに、デジタル革命といたるところで見受けられるネットワーク環境が図書館と図書館が提供するサービスに対して、新しい意味内容を構築したのではないでしょうか。ということで、私の想像するインフォメーションサービスについて述べさせていただきます。そこでまず、そのコンテクストを設定し、将来のサービスをどのような環境の中で考えればいいか、その条件・条項をいくつか提示します。これはあくまでも私見であることを断っておきます。私が主張するものでも、図書館間で意見の一致を見ないものもあります。あからさまに、拒否反応を示す図書館もあります。次に7つの条件・条項を示します。


・電子資料への移行は既成の事実

電子資料への移行は図書館の歳出パターンに投影されています。また、同時に利用者の利用パターンに現れています。実際、図書館関係者たちはすでにこの事実に気が付いています。米国の、より幅広い利用者層を誇る高等教育現場では、The Chronicle of Higher Educationが「もぬけの殻の図書館」という記事を載せて以来、周知のこととなりました。その記事には、ニューヨークのある州立大学では電子資料に費やした費用が、十年前と比べると6倍に増え、それは2001年の資料購入のための総額3分の一に達すると報告されています。[i] ARLの調査でもこのことが裏付けられています。ARLは、「その傾向は、これからますます顕著になり、2000〜2001年が予算のうち16.25%を占めているが、それは1992〜1993年の約5倍近くになっている。2000〜2001年の106大学の予算を合計すると1億3千2百万ドル(150億円)になる。これから電子雑誌の購入と予約購読サービスに支出が拡大していく傾向にある。電子雑誌の支出をみると1994〜1995年106大学でわずか1千百万ドル(12億円)であったが、現在では1億1千7百万ドル(125億円)に達している」と報告しています。[ii]


・我々は、利用者、インターネット、電子的環境から多くのことを学んでいる。

最近、デジタル・ライブラリー・フェデレーションと北米図書館情報資源会議で支援されている「学術情報環境の利用と次元」の調査[iii]によると、我々が研究していたものがはっきりと試金石になっています。我々は、キャンパスで見たことや、その地域特有の研究分野を確認するという基本は、課題以外のすべての考えを、また引き出しているのです。その調査から取り出された真理は、「信頼の置ける情報資源として印刷物が勝利を収めたにもかかわらず、多くの利用者は研究・教育のためにオンラインをまず探す傾向があることです。研究者の90%は、オンラインが最初で印刷物は参考にする程度としている。学生の75%は、インターネットを最初に使い、その後、図書館員や教授に相談にいき最後に印刷物を使います」[iv]


・学生は、電子資料が完璧なものであると誤解している。

ある大学の調査によると、「もうひとつの問題は、電子資源に対する利用者の期待が増加することです。悪いことには、用意にアクセスできない資料を学生は避ける傾向があることです。ある数学の教授は、我々が購入する雑誌で電子化したもの以外は読まないと認めています。この印刷に対する嫌悪は、学生の引用文献リストにも現れています。引用文献リストは、用意にアクセスできる記事がほとんどです。電子的なものに慣れた学生は、電子資料化されていない資料をほとんど使わなくなっています。」[v] これは大変残念なことであります。引用した調査の言葉は、現状を的確に言い表しています。この言葉は、図書館サービスの変化について、以前から言われていたことの繰り返しと皆が認めるものです。我々が思い出すことは、機械目録とカード目録が併用されていたいわゆるミックスされた環境の時のことです。あの頃も、今と同様の誤認・誤解が多くありました。だからきっと、克服できます。それは、努力して克服する以外にありません。

良い学問、教育、学習はハードな仕事の結果です。ニューヨーク大学のSiva Vaidhyanathanは、「便利なものは崩壊する。不便なものでも生活のために本当に重要なものであればそれは便利なものに変わるが、それが実感できなかった」といっています。[vi] 不便なものこそが、何かやりがいのあるものを生み出す重要な要因になることがあります。彼は“図書館のアナーキスト”という本で、社会や文化の全体の変化がネットワーキングの興味深い研究になると示唆しています。


・現状を変えるにあたって図書館のできることの限界

このことに関して、Marquette大学の図書館長Nicholas Burcketの観察は、大変説得力のあるものと思います。従来の書物・資料の利用を増やすには私たち図書館の者が自ら何ができるかを問うより、教育現場の教育方法の良し悪しにかかっています。「もしあなたが、ある学生にAという評価を与え、その学生が一次資料にアクセスもせず、なおかつ、あなたがその学生に印刷資料を調べるように求めていなかったら、図書館が学生に対してそのような習慣を身に付けさせようと努力しても所詮無理な話です。」[vii]


・一昔前の利用者がとった行動へのノスタルジーを抱く気持ちは理解できるが、それは非生産的なものである。

最近、電子資料の使用パターンをみるとそれは反知的だといえるかもしれません。学問の精神をファーストフードを好む精神に置き換えられるとか、学生の利用する情報の質が低下したとも言えましょうが、高等教育を支えるという重要な役割を担う図書館が、現在のパラダイムを、昔のそれに巻き戻そうと想像することすら、ままならない。利用者たちの情報のイリテラシーをいかに嘆こうとも、そして教育を充実し訓練の充実を求めてようとも、利用者は我々とは異なった意見を持っています。利用者は、情報を扱うための正式な訓練を受けていなくても、オンライン情報を利用する技術があるものと思ってしまいます。[viii] 我々の仕事は、新しく作られたパラダイムの中に、質の高い、信頼される、また、権威のある重要な情報を提供することです。


・社会環境としての図書館の重要性が新たに強調されることは、総じて悪いことととは言えない。

もし学生が伝統的な資料のために図書館に来なくなったとすれば、その現象の意味することは図書館が、物理的な場所として、キャンパスライフに異なった図書館機能を与えるということです。閲覧統計や入館ゲートのカウントによって、学生が図書館にこなくなったがどうかを判断することは、図書館の認識の大きな分岐点になりつつあるでしょう。しかしながら、どのようなやり方でも、様々な統計が利用者の減少を示しています。キャンパス環境における図書館は、その資料同様重要であることは認識しているが、電子媒体が現れたことで図書館の他の重要な役割も見直されつつあります。いま教育研究資料を提供する新しい方式を作成するのに奮闘努力しているところです。図書館は物理的な場所としても、大学関係者のあこがれでありそして誇りを持てるコミュニティーでもあります。


・同じ図書館はひとつとない

この議論を始めるとき、このことを確認しておくべきだと考えます。それは、我々同じ図書館員でもやはり異なるからです。グローバルな環境がより図書館界を緊密にし、同時にその違いも強調されるからです。利用者のニーズは、それぞれの地域による違い、資源の違い、歴史の違い、経験の違いそして環境の違いによって異なります。しかしながら、情報へのアクセスへのハイレベルな改善については共有されなければならないでしょう。その意味では、今日お話することはたったひとつの例に過ぎません。

我々は、環境の混同と変化に直面しています。研究・教育の世界も電子環境の影響が出てきており、学生はちゃんと動くのは電子環境のみであり図書館が将来のサービスを創造し、その環境にどのようにインパクトを与えるかについて純粋に限りがあると認識しています。ネットワーク環境を紙の情報時代同様、あるいはそれより良いものとして提供できるのかどうか。それは、今までとは異なった新しいサービスの開発にかかっています。

今までとは異なった新しいサービスを確立する方向で戦いを挑むならば、図書館は既に有利な点をもっています。最初の有利な点は、図書館に対する信頼です。コロンビア大学の調査では学生の多くは、認可されているからという前提で学校にリンクしているサイトのみ使用していると報告されています。[ix] より多くの利用者は、インターネットを利用し強い信頼をおいています。しかしながら、彼らは図書館をもっと信頼しています。55%の利用者だけが、インターネットの正確さを立証しているのに過ぎません。California Polytechnic libraryは、多くの信頼のおけないWEB情報のみではなく、模擬サイトにもリンクを張っていることは面白いことです。

2番目の有利な点はコンテンツです。利用者が求めているものを購入し与える能力があることです。物理的資料と電子的資料の両方を持つハイブリット・ライブラリーを明確にできるし、広範囲の情報資源とリンクすることもできます。ハイブリット・ライブラリーを構築する際の本来の問題に直面しながら活動している訳です。それが利用者にとって、有力であることは明らかです。彼らが、求めているものを我々は備えているのです。

図書館とオンライン資源と合体した印刷資源への信頼は、無理に分離しているものです。[x] このことは、図書館への信頼を持ちつつコンテンツを提供するための能力強化が問われるところです。将来のリサーチ・インフォメーション環境に、価値のある必要不可欠な図書館をつくるため、そのことをこじ入れることができるでしょうか。

コンテンツを持つことそして信頼できるツールとサービスを持つことでそのことは可能になります。物理的なものとバーチャルなものの両方を図書館の利用者に提供するとすれば、ツールやコンテンツをあえて変えなければなりません。数年前の会議で聞いたことですが、「自分でコントロールできるコンテンツは、もはやコンテンツではない。それはサービスそのものです」
勿論、コンテンツをもって相互に協力できる体制は、互換できるツールとサービスの種類によります。どこに、将来においても維持できるツールとサービスを見つけなければならないでしょうか。


どこでツールやサービスのガイダンスあるいは指導を受けたら良いのでしょう。

2つのサジェスチョンがあります。ひとつは商業ベースに乗っているものからさがすことです。
それは、将来の利用者(例えば10代の子どもたち)の時代の研究方法を考慮したものであるべきです。

これらのことを解決するために、商業ベースに乗ったものから多くのことを学ぶでありましょう。我々のサービスミッションと商業ベースに乗った価値あるツールとサービスの間の共通認識が見つかるでしょう。学術的な利用者は、産業界で働く知識労働者と同様の特徴をもっています。もっとも顕著なことは、彼らは時間を使い果たしていることであります。商業ベースのコンテンツ利用者は、多くの情報の分析と評価に使う時間を、彼らの持ち時間のうちの16%だけを費やすこととしています。全てのタイプの学生・教員が、研究・学習するにはイメージを持って構築すべきです。商業ベースは、これらの情報アクセスにかかるコストと、専門的な従業員に対して年収1万ドル(約120万円)が必要だとしています。大学では、商業ベースにおいて実施されている時間的な調査が学生・教員に対して行われていません。しかも、学術的な分野においても情報アクセスには同様のコストがかかります。[xi]

問題は、利用者が情報にアクセスするのに、どのくらいの時間をかけているかを把握することです。既に知られている方法による情報探索の習慣をいかにミラーし、サポートするために、将来の図書館サービスをデザインしなければなりません。それは、既にモデル化した情報探索プロセスをではありません。学生のニーズや社会あるいは仕事に対する境界線のないマルチなものを考慮して、より「使い勝手の良いもの」を創る必要があります。学生はもっとも便利なコンピューターを使いインターネットへ出て行きます。学生は、オンラインで仕事と社会行動を分けていないし、仕事と家とレジャーも分けていない。同時に彼らは、マルチな要求にそれらを使っている。彼らは、簡単なメッセージ、電子メール、WEB検索、ワープロとして同時にそれらを利用しています。[xii] 我々のサービスもそれに適合しなければなりません。図書館のサービスが、要望に対してその提供ができ、時間的浪費が少なくて、「使い勝手の良い」環境であれば、利用者に対して重要で価値のあるものを提供でき、失った利用者をも取り戻せるでありましょう。

ツールやサービスを考える際に他の習慣やニーズを考慮することで、我々の将来の利用者―10代―のニーズも明らかになってくる。カレッジの学生は、大学に来て以前の習慣に従って情報を探している。最近北米では、オンライン世代の94%が学校調査のためにインターネットを使い、71%が最新の学校プロジェクト調査のためのメジャーソースとしてオンラインを利用している。[xiii] 商業ベースからと将来のサービス構築のなかで、将来の利用者の現在では信じがたい情報ニーズや事実情報の取り扱い方などを結合する形で構築することが考えられます。

教育や図書館の現場では、それがベテランであろうが新人であろうが、ひとつの体制におけるニーズに沿って平等に実行されている。時間をセーブさせ、要求しているものをできる限り提供し、研究あるいは教育において良い成果が出るようにサポートしている。現在のサービスが始まった頃と将来のサービスに対するニーズを考え直すことでもあります。未来は既にきています。このことに対する挑戦に早すぎることはありません。そしてまだ遅すぎるとも思いません。私の話の残りは、サービスの特徴や将来のサービスに集中していきたいと思います。今、将来において、グローバルに、ネットワーク化されたリサーチ環境のなかで、図書館員の役割について思索しています。この思索のスタートがデジタル・ライブラリーであります。

多くの場合デジタル環境における我々の努力は、デジタルコレクションの構築に重点がおかれます。コレクションビルディングの変化や今までのものを変えていくことに対して努力をしながら前進し、同時にデジタル・ライブラリーについても考え始めなければなりません。サービスについて考え始めることは、その成功を導くために利用者、利用者のニーズ、利用者の予測についても考えなければなりません。今度は、サービスの見地と利用者のニーズという見地からサジェスチョンをしたいと思います。私がサジェスチョンしたいサービスの目標は、当然これから起こることと予想して、一定の方向に向けてどのように努力すれば良いかです。いつか我々は、我々が提供するものが完璧な再定義の結果として、大きな前進をしていることに気が付くでありましょう。


デジタル・ライブラリーから始めたいと思います。

我々は、形容詞「デジタル」を図書館と一緒に使っています。21世紀に図書館を支配するものそれは「デジタル」でしょう。形容詞を明白にするには、図書館の物理的なものの定義が必要でありましょう。にもかかわらず、私の好みとする定義のひとつに、ネットワーク化された情報のためのコレーションであるCliff Lynchが提供している、サービス政策における本質的なデジタル・ライブラリーの定義です。それはあらゆる見地をもち多くの場所で有効なものになっています。「デジタル・ライブラリーはデジタルコレクションを有効にし、アクセスを容易にし、現在まさに行われている仕事にも有効で、コミュニティーの中での関連性を可能にするシステムであります。」実際の局面で彼が得たものは、予測、要求、要望、切望のようなものを学者と学生の両方から調査できたことと、明確さにはかけますが、聞くことができたことであります。

サイバーリサーチの世界において、図書館とは、博物館とは、文書館とは何でしょう。図書館サービスとは何でしょう。図書館を見出すことができるのでしょうか。私の基本的な主張は、研究に起こり得ることの中で、主要なそして圧倒的に優勢なものになるであろうサイバーリサーチの世界において図書館は、物理的な財産ではなくてそれ自身サービスの概念、サービスの可能性の館になることでしょう。物理的な場所としての図書館は、社会目的のために重要であるが、研究者や学生に提供するサービスの館としてはそれほど重要ではなくなるでしょう。

新しいサービスの概念は、我々が今行っているいくつかのものを包含するでありましょう。しかし、それは大変異なった政策であり、新しいサービスや活動は拡大され、包含され尚且つ重要さを増すでしょう。将来において、サービスは拡大・拡充されるでありましょう。しかし将来のサービスをみながら、それを今現在のサービスに取り込もうとすることは、鳥を調べるのに恐竜を見ようと試みることと同様であります。

クリフの定義によると図書館員と彼らが提供するサービスは、デジタル・ライブラリーをアクセスしやすい、活きた、使い易い、地域社会とつながったものにします。アライブとはどんな意味か。この背景における有効性とは。そして何を持って、誰に対してその関係が起こるのか。学者や学生が今我々に要求していることから、疑問について答えを導き出せると考えます。彼らのコメントから推論しながら、我々は情報と図書館の本質を深く理解することをしなければなりません。しかしながら彼らに従った場合、今まで考えていたサービスの概念と異なったものをもたらすでありましょう。このことは、RLGが最近学生に対して行った調査から引用できます。同様のことが、昨年のRLGメンバーと話した内容もほぼ同じでありました。彼らが提出した意見の中に暗示されているものを推測、理解をすることが、21世紀における図書館サービスの私の概念ということになります。ここでハワード ブルームを紹介しましょう。


サイバー・リサーチャーの紹介

ハワードは、The Lucifer Principle の著者ですが、ごく最近はGlobal Brainという本を書いています。これらは美しく書かれており、またあっけに取られるものでもあります。日本語に翻訳されているかは知りませんが、もし訳されていなければ、やがて翻訳されると思います。これらの本は、信じ難いほど広範囲で綿密な調査によるものです。Global Brainは、370ページのうち145ページが注記です。彼の著作について話をしてもらいました。どのように知識を創造し、また図書館から何を必要としたかを尋ねました。彼は、自分の講演に「デジタル砂漠に置き去りにされ、サイバー・リサーチに救われる」というタイトルをつけました。彼は優れた人間であり、決して無視できない存在です。


ハワード自身の自己紹介です。
<Howard clip 001-002>

ビデオ・クリップより:
「私が今、皆さんのいるその部屋に、皆さんと一緒にいたいと願うのは、それは、皆さんが私のパートナーだからです。いや、皆さんはパートナー以上のものです。
私は寄生虫。肉食の寄生虫です。私は、他人によって集められた知識に飛びつき、そこで得たものを新しい方法でつなぎ合わせるのです。皆さんが、牧草地を作ってくれて、そこで草をはむ牛や馬や羊を育ててくれるのです。私は皆さんが育てた牛や馬や羊を頂戴します。しかし私がその獲物を頂戴し、それを皆さんに、全く新しい方法でお返ししたいと思っています。私は皆さんの助力なしには何にもできません。私がこの講演に『デジタル砂漠に置き去りにされ、サイバー・リサーチに救われる』というタイトルをつけたのはそれなりの理由があります。私の著作は、リサーチが全てといっていいでしょう。私の人生もしかりです。そして、私は皆さんが想像できない、いろいろな意味で、皆さんに依存しているのです。私の立場はとても不思議なもので、それ故、皆さんに頼らざるを得ないのです。私は皆さんの20年後のクライアントです。皆さんが直に接するであろうサイバークライアントです。サイバー人間になって14年。昔、昔、私は歩道を散歩しました。昔、昔、建物をみながら散歩するのが好きでした。」*1 さて、ハワード氏は最早、家を出ることができません。15年ほど家に引きこもっています。ひどい慢性疲労症候群にかかっていて、図書館に行くこともできません。仕事は、ほぼオンラインでこなしています。果たして、アクセスの良し悪しについて、彼はなんと言っているでしょう。

<Howard clip 006-008-009>

ブルームに戻ります。

「この情報をどこで得ればよかったでしょうか。本からではないでしょう。オンラインから取るべきでした。オンラインでとれれば、その15倍の事実を集めることができます。オンラインで雑誌記事を探すとき、抄録で得ることができる。もっとも有効で驚くべきサーチ・エンジンはMedlineです。Medlineは、すばらしいサーチツールです。唯一の問題は、抄録しか提供していない点です。本も必要です。完全な本です。「情緒伝染病」というトピックをサーチするような場合、本はサーチ・エンジンと一緒に必要なのです。資料を雑誌記事の中に見つけます。関連する全ての本のなかにそれらを見つけます。そして直接適したパラグラフにアプローチすることができます。誰が導いてくれるでしょう。それはあなた方です。知識の管理人たるあなた方です。知識を手に入れるために尽力してくれるあなた方です。」*2
ハワードは、全てをオンラインでアクセスできればと願っています。深い意味論的なつながりでそれにアクセスしたがっています。デジタル・コンテンツに集中するのは、それは原典主義であれ文化的な問題であれ非常に興味のあるところであります。資料を使う場合、それに関連する全てのものを必要とするでしょうか。ハワードは、資料の有効性について、資料はどのようにして活きたものにし得るか、について興味深いことを言っています。


<Howard clip 005-014-011-012>

ブルーム:
「私は既に大方の人が得ている以上に、書誌的な情報を充分に得ている。しかしまだ充分でもなく満足しているわけではない。まだ知識に飢えている。図書館から必要なものは何であろう。私は次世代の知識をうるための技術が必要なのです。あるいはそれを超えたものかも。私は、下線を引いたりして情報を読みたいのです。言い換えれば、コンピューターでそれを読みたいのです。注釈を入れたり数行抜粋したいのです。つまり図書館の助けが必要なのです。8000年前に栄えていた町Catal Huyukについて調査をしているとしましょう。その町の感覚がほしいのです。その町に住む感覚を知りたいのです。食器の感覚を知りたいのです。どこから食事が出てきて、部屋にのなかに入って人と話をする、そんなバーチャルな経験をしたいのです。アニメーションやVRMLが必要です。それは、Catal Huyukにおける寺院のVRMLです。それは原始的で役に立ちません。私はその町が何のためにあったかを知りたいのです。また、19世紀ビクトリア王朝の部屋を感じ、そこでの会話を聞きたいのです。どうすれば実現できるのでしょうか。究極的には、アニメーションやレーザー写真の両方を考え得る、あらゆる形を駆使したものから得ることになるでしょう。」*3

ハワードにとって、オンラインで得られるものは、注釈が付けられ、コメントを加えたり、切り取り可能で、また、再利用できるものであって欲しいのです。再利用こそが情報やデジタル文化的な内容のものに、新しい価値と重要性を与え、学問・学習ひいては新しい知識とならしめるのです。ハワードは、ビジュアル化、アニメーションと翻訳を望んでいます。要は、彼は、私たちが、発見と発送、解釈とプレゼンテーション、メディアとメカニズムという区別をつけているそのものを、突き破る方法で、資料を提供して欲しいのです。しかし、ハワード氏はやはりハワード氏。彼はそれ以上のものが欲しいのです。彼は、これら全てのものに行動是認主義的に関わっていたいのです。


<Howard clip 018-019-016-017>

ブルーム:
「私が図書館に求めるものといえば、たったひとつ。そのひとつとは、全てのもの。すなわち我々が知識と呼ぶものの全てです。しかもそれは、理解可能なものに作り変えられ、毎日、いつでも、アクセスできるものでなければなりません。なおかつそれは、私の知性に、常に不可価値を与えるものでなければなりません。私は賢いエージェント(図書館員)が必要です。そして、彼らから、私は図書館自身の関心事や気まぐれ、さらに、図書館を図書館たらしめたもの、すなわち、知識の探求、知識への情熱を段階的に教えてもらう。そして、逆に私は、図書館のために知識欲と情熱をさらに探し求めます。ご想像ください。無尽蔵の知識の倉を持つこの賢いエージェントが、常時図書館にいるのです。

私が図書館に求めるものは次なるものです。用意はいいですか。これは壮大な計画です。私が欲しいのは、大きさで言えば、あの丸いバンドエイドより小さい、プロテインチップスぐらいのものです。私はそれを耳の後ろにつけるのです。そのプロテインチップス大のものに、無尽蔵なメモリー能力を持たせて、私の脳裏をかすめる全てのアイディアを蓄えるのです。わざわざ、コンピューターのところまで行って調べたくありませんからね。瞬時に、アイディアを脳のなかに取り込みたいからです。つまり、私は図書館のデータベースに、私がどこへ行こうとも常に私と共にある携帯可能なものでアクセスしたいのです。」*4


ハワードは、仕事や考え方に共通する人々との連絡や関連資料の両方との密接な関係を維持したいのです。多分、ハワードが望んでいることを全て満足させることはできないかもしれない。ただその方向に持っていくために、一体我々に何ができるのであろうか。ハワードが望んでいるものは、我々の提供すべきサービス、なすべき仕事の再定義を求めるものです。クリフのデジタル・ライブラリーへのアクセス、有効性、活動、リンク関連の概念を具体化するには、何をすればいいのかを示唆しているのです。


21世紀において館としての図書館がかすみ遠のくなかで、特に選書や収書は新しい動きにとって変わられるでしょう。

・デジタルコレクションの構築
・デジタルコレクション間の相互利用の構築
・補足的かつ知的なデジタル資料の選定

資料へのアクセスを良くすることは、利用者の要求を抽出し新しく豊かで強力なレベルで資料と利用者を繋ぐことになります。ここで長い間、書誌専門家やキュレイターがしてきたこと、あるいはすべきだったことを論じる必要もないでしょう。


資料を効果的にするための要件と支援

・データの掘り起こし
・これら資料の一定の取り扱い規則
・再利用のツールのサポート
・開発と展開、提供と支援


将来における図書館の取り扱い規則を命名するには、合理的なイメージが必要と考える。知的代理店は、北米ではシューメーカー全米出版書誌目録というようなイメージ、あるいはここでは「岩波の国書総目録あるいは竹内理三の平安遺文」というようなイメージで命名をするであろう。


21世紀の図書館サービスを要約すると、財産目録の配送ではない。関連したものへの仲介の提供である。我々は、規則に基く目録や書誌を作成するわけではない。また、選書をするのでなく、リンクやコネクションを確立するのである。資料を準備するのではなく、抽出するのである。レファレンスサービスを提供するのではなく、知的なものを与えたり、正しい規則にのっとりそのコネクションを掘り出し創り出すことにある。機会があり挑戦がある。それが、過去長い間理路整然と優雅に存在していた原理原則に戻ることなのです。


デジタル・ライブラリー、デジタル資料に対する挑戦や機会を包含するならば、21世紀は図書館サービスが理論的に立証でき、ランガナータンの図書館学の5原則に近づくことになるでしょう。

・図書は利用するためのものである
・いずれの読者にもすべて、その人の図書を。
・いずれの図書にもすべて、その読者を。
・図書館利用者の時間を節約せよ。
・図書館は成長する有機体である。

この法則は、図書館の仕事のどの部分であろうとも、等しく共有できることである。このことを教訓のひとつとして、自分の仕事を常に試したり、評価したりすべきでしょう。この法則は、利用者に代わってサービスとは何かを今もって教えてくれています。


ハワードと彼のコメントを却下してはいけない。インターネットに対して10代の人が発言することや、また彼らに対して有効なサービスにかかわるものについては、次のようにアドバイスをしたい。

Pew Internet とAmerican Life Projectは11歳から19歳の学校でのインターネット使用報告が出されている。そのタイトルは、"The Digital Disconnect: The widening gap between internet-savvy students and their schools"である。そのポイントとなる内容は、求められているツールとサービスのリストである。利用者になるであろうこの年代の学生には、インターネットに関しては次のとおり考えています。

・バーチャルブックとレファレンスライブラリー
・バーチャル教師と勉強への近道
・バーチャルスタディーグループ
・バーチャル案内、相談役
・バーチャルロッカー、バックパックそしてノートブック[xiv]

デジタル・ライブラリー・サービスとして構築されるべきものとしては、これらは正確に言い表していないでしょう。しかし、有効なヒントを与えてくれています。それは、図書館自身が今後どのような位置付けになるか、それは周りの環境に即応して、図書館の伝統的なサービスを越えてしなければならない業務や、来るべきオンライン時代に対応できる図書館サービスを求められた場合の図書館の位置付けなのです。

このサービスの概念は、利用者が以前からそして今もまだ求めているものであることを確認しましょう。そして、学生の話、ブルームの話、ランガナータンの教え等から、たとえ図書館に見いだせなくても、彼らの話の中にこれからは図書館のサービス見出して欲しいと思います。


<学生のビデオクリップより>
学生は、話した順に番号がつけられています。

学生1と学生5にペアになってもらいました。(女性)
学生2と3がペアです。(女性)
学生4は一人で。(男性)

Student #1
私は怠け者で、図書館に行くのは好きではありません。もしできれば、家でパジャマのままで調べものができれば最高です。

Student #2
できれば、図書館に行きたくありません。しかし調べなければならない本などがあって行かなければなりません。できれば自室から調査したいですが。

Student #1
それは印刷しようと思えば印刷できます。図書館なんて全く行かないで済みます。

Student #1
全く当てずっぽで始めるんです。そしてなんとか範囲を絞っていってその絞ったところかが出発点、というところでしょうか。

Student #3
私は専門家ではありません。

Student #2
はい、基本的なことしかわかりません。

Student #1
分類別は役に立ちます。

Student #3
好きなもののひとつは・・・・

Student #4
どこの大学のどんな雑誌からでもあらゆる雑誌記事でも得ることができると考えていました。

Student #5
それは現実的には無理かもしれませんが、資料は送ってくれるといいですね。

Student #1
はい、どこかクリックすればいいんです。

Student #5
それはアマゾンや色々な衣料品店のしていることです。オンラインで物を買えば店が品物を送ってくれます。


利用のための資源 ― 「全ての雑誌をオンラインで欲しいのです。」

いずれの読者にもすべて、その人の資源を ― 「本当に欲しい物については、もっと欲しいです。私は専門家ではありません。」

いずれの資料にもすべて、その利用者を ― 「分類別は役にたちます。」

利用者の時間を節約せよ ― 「自分の部屋で、パジャマのまま調べものをしたい。資料を配達さえしてくれればいいのです。」

図書館は成長する有機体である ― 「図書館には行きたくない。」


彼らが図書館に行かないとすると、我々の専門家としてのゴールは何なのでしょうか。それは、私が列挙したサービスを提供することになる、と思います。21世紀のライブラリアン、書誌専門家、キュレイター、そして専門家は、グローバルにネットワーク化されたリサーチ環境を運用するのです。それはエキサイティングで活気的なことでありましょう。
ご静聴ありがとうございました。そして、皆様からのご質問、また後ほどのパネルディスカッションを楽しみにしております。
ありがとうございました。



参考:

[i] Scott Carlson, “The Deserted Library,” The Chronicle of Higher Education, 16 November 2001, <http://chronicle.com/free/v48/i12/12a03501.htm > (27 February 2003).
[ii] Mark Young, Martha Kyrillidou, and Julia Blixrud, “ARL Supplementary Statistics 2000-01,” press release, ARL Webpage, 7 July 2002, <http://www.arl.org/stats/announce/sup01pr.html > (27 February 2003).
[iii] Amy Friedlander, Dimensions and Use of the Scholarly Information Environment: Introduction to a Data Set Assembled by the Digital Library Federation and Outsell, Inc., (Washington, DC: Digital Library Federation Council on Library and Information Resources, 2002).
[iv] Sue Roppel, “Simon Fraser University Library Faculty Survey Results,” Simon Fraser University Webpage, 7 June 2001, <http://www.lib.sfu.ca/about/reports/survey2001/faculty_report.pdf > (27 February 2003).
[v] Neil Swidey, “A Nation of Voyeurs,” The Boston Globe Magazine, 2 February 2003, <http://www.boston.com/globe/magazine/2003/0202/coverstory_entire.htm> (27 February 2003).
[vi] Scott Carlson, “Do Libraries Really Need Books,” The Chronicle of Higher Education, 12 July 2002,
<http://chronicle.com/free/v48/i44/44a03101.htm> (27 February 2003).
[vii] Lynn Dagar and Leigh Watson Healy, “TrendAlert: What The Dot.Com Survivors Can Teach Us,” Outsell InformationSM Briefing, Outsell 60 Company MonitorSM vol. 2, no. 1, 17 January 2003.
[viii] Scott Carlson, “Students and Faculty Turn to Online Library Materials Before Printed Ones, Study Finds,” The Chronicle of Higher Education, 3 October 2003, <http://chronicle.com/free/2002/10/2002100301t.htm> (27 February 2003)
[ix] “The Use of Electronic Resources Among Undergraduate and Graduate Students: Summary of Key Findings for Student Interviews,” Electronic Publishing Initiative at Columbia (EPIC), September 2001. <http://www.epic.columbia.edu/eval/find03.html> (27 February 2003)
[x] Carlson, op. cit.
[xi] Dagar and Healy, op. cit.
[xii] Steve Jones, principal, “The Internet Goes to College: How Students are Living in the Future with Today’s Technology,” Pew Internet & American Life Project, 15 September 2002. <http://www.pewinternet.org/reports/toc.asp?Report=71> (27 February 2003)
[xiii] Amanda Lenhart, Maya Simon, Mike Graziano, principals, “The Internet and Education: Findings of the Pew Internet & American Life Project,” Pew Internet & American Life Project, 1 September 2001.
<http://www.pewinternet.org/reports/toc.asp?Report=39> (27 February 2003)
[xiv] Douglas Levin and Sousan Arafeh, “The Digital Disconnect: The Widening Gap Between Internet-Savvy Students and Their Schools,” Pew Internet & American Life Project, 14 August 2002. <http://www.pewinternet.org/reports/toc.asp?Report=67> (27 February 2003)

*1 Bloom, Howard Stranded in the Digital Desert and Saved by Cyber-Knowledge, RLG Annual Meeting, International Institute of Social History, Amsterdam, April 23, 2002

*2 Bloom, Howard Stranded in the Digital Desert and Saved by Cyber-Knowledge, RLG Annual Meeting, International Institute of Social History, Amsterdam, April 23, 2002

*3 Bloom, Howard Stranded in the Digital Desert and Saved by Cyber-Knowledge, RLG Annual Meeting, International Institute of Social History, Amsterdam, April 23, 2002.

*4 Bloom, Howard Stranded in the Digital Desert and Saved by Cyber-Knowledge, RLG Annual Meeting, International Institute of Social History, Amsterdam, April 23, 2002.

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