2.2.1. サインの調査シートができるまで

 サインの概念を知るために先ず文献を探し、そのなかで、調査項目が充実している『サイン計画ワーキンググループ報告書』『ILIS調査レポート』を参考に自館を調査した。

 その結果、調査のポイントは利用者の立場にたってみると施設の利用と資料の利用の2つあることに気づいた。そのポイントを以下にまとめてみた。

施設の利用について


資料の利用について

 上記の点に留意しながら、調査シート案を作成した。次の例会会場が、メンバー全員にとって始めて訪問する図書館であったので予備調査を行った。調査は、下記の項目にそって行った。

(1)図書館内でインフォメーションカウンターの場所や、図書館を利用する際の最低限の情報がわかるか
  1. インフォメーションカウンターはどこにあるか
  2. 図書館のフロア構成(各カウンター・書架・コピー機・トイレ)について
  3. 貸出や閲覧の方法などがわかるか
  4. 貸出冊数・期間(具体的な数字)について
  5. 規制サイン
  6. 開館時間
  7. 開館日程
  8. 図書館員のコメント
(2)特定資料・不特定資料の検索項目
    特定の資料不特定の資料
一般図書・岩波講座現代社会学
・プラトン「国家」
・ソクラテスの弁明
・シェークスピア全集
・インターネットに関する本
・岩波文庫
参考図書・イミダス
・六法全書
・広辞苑
・英語の辞書
雑誌・Newton(最新号・バックナンバー)
・日経サイエンス(最新号・バックナンバー)
・The Economist(最新号・バックナンバー)
・News Week(最新号・バックナンバー)
・文芸春秋(最新号・バックナンバー)
   
新聞・朝日新聞(当日、昨日、1992.1.1)
・読売新聞(当日、昨日、1992.1.1)
・日経新聞(当日、昨日、1992.1.1)
・毎日新聞(当日、昨日、1992.1.1)
    

特定資料のポイント

 学生の利用頻度の高い辞書、文庫や新書は小型本なので別置されている可能性がある。今ホットな話題が、雑誌や新聞で見つかるかどうかを調査しながら、検索 → 新着書架 → バックナンバー書架といった一連の流れがサイン化されているかどうか。

不特定資料のポイント

 どこの図書館にでも備えているとおもわれる参考図書と一般書を対象にした。また、OPAC検索で調査しづらいであろう書名を選んだ。
 新聞については、当日とバックナンバーは別置されていないか。別置されている時は、そのサインが表示されているか。

 調査時間に1時間20分要した。2人1組で3パートに別れて実施した割りには時間がかかりすぎている。調査後、担当したパートの結果を見やすく、また記入しやすいように調査シートの改良を行った。調査シートは、施設の利用と資料の利用の2つの方向で考えて作成した。施設の利用については、サイン調査シート・施設のサインができ、資料の利用については、サイン検証調査シート(特定の資料・不特定の資料)を作成した。本分科会のユニークな視点があらわれているのが、サイン検証調査シートである。このシートは、利用者の動線を時系列にそって書くことができるシートである。

 施設面は、1人1人のコメントが大切であり重要になってくるので、メンバー全員(5名)でおこなうことにした。シートの記録、写真撮影、写真の記録、撮影場所(フロア案内図に記入)、配布資料集めと役割を各自分担し、図書館の入口より始め1時間半調査した。各自のコメントや感想は、調査シートに反映されている。その後、各自でサイン検証調査シートをもとに課題に取り組んだ。これにより、資料を探す過程で、サインの何がポイントなのかを見つけ出していくことにした。

 一般のサインよりも、目に見えない形で、図書館員が効果的な方法を使っているかもしれない。我々が見逃していたサインはないか、収集し忘れたパンフレットはないかなど聞かなければわからないことを館員に補足説明してもらうことにした。


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